10代でアイドル運営のためにまずは可愛い子を誘って資金調達からスタート!? 20歳で喫茶店のWEBメディアを収益化!?"新卒のテイで"就職活動。 バイタリティー溢れると思いきや、意外とバランサー思考の杉井さん。 そんな彼女に密着しました。
"世の中のことを知れば知るほど、知識やお金がないと何も守れない、土俵にすら立てない、
そんな、どうしようもない現実に直面します。""
Profile
プロジェクトマネージャー
ビジネスプロデューサー
ミーチクリエイティブ代表
WEBコンサルを行うベンチャーから、 上場企業の社員に転職。サービスデザイン・ブランディング領域のPMを勤めながら、 副業でSNSや生成AIを用いた事業を行っている。
それがまだ10代だったとのことですが、その後どうして正社員として就職することになったのですか?
とある経験がきっかけです。私は上京後に久々に帰省した際、たまたま被災を経験しました。
当時を振り返ると私1人だけ焦って騒いでいて、「避難しよう」と周りに言うも、
正常性バイアスといいますか、何度訴えても避難しない親戚たちの姿を思い出します。
あまりにもニュースや警報アラームがひどくなりようやく全員で避難行動するも、車が溝にハマったりして
すごく不安でした、周りから聞こえる声は「まあ大丈夫だよ」の連続でした。
幸い空いている道から母親の経営する小さなお店に避難できたものの、夜中に延々と流れる警報のニュースやアラーム。
翌日不安な気持ちのまま車2台で家に帰ったら、そこに見えたのは小さい時から家族で住んでいた家全体が水没している光景でした。
「大丈夫」という言葉は間違っていたのです。
そこから違う親戚の家に数日避難するも、毎日隣で泣き崩れる祖母、なかなか都内に帰れない私。そんな経験から180°価値観が変わりました。
それにそんな時に思い出したんです。
小さい頃に夜中に家に泥棒が入ってきたことがあって、深夜目が覚めて私だけ気がついて、
下の階で聴こえる足音が怖くて数時間震えていました。
翌朝、一回の窓ガラスが破られていて鍵が開けられていたんです。
親は「まあ大丈夫でしょ。警察に相談しようか」くらいのスタンスで、普通に出勤の準備をしながら過ごしていたんです。
両親なりの子供を心配させない演出というか気遣いだったのでしょう。ですがその災害の時にそれを思い出して
「ここにはいられないな」と感じたのを、高校を卒業して逃げるように1人で上京したのを思い出しました。
少し話はそれましたが、被災の経験、泣き崩れる祖母の姿、フラッシュバックした田舎特有のネガティブな記憶、全てが重なり、
「好きなことばかりしてないでまず社会でお金を稼いで、
知識をつけて、何より判断力をつけて、人を守れるようにならなくちゃ。それがないとそもそも何もできない」と身にしみて理解したんです。
帰省から東京に戻った次の日に、好きな活動とバイトしかした事ない私でしたが、いきなりAMBIやビズリーチのようなハイエンド向けの転職サイトに登録しました(笑)
「給料高そう」みたいな軽い気持ちです。
なんとなく聞いた知識で得た「独立する可能性があればおすすめの業種」的なものを加味してWEB系のクライアントワークの企業を目指して就活を始めました。
結局、性格的にはサラリーマンが意外と向いていたのですが...意外と根本が利他的なんです(笑)
でも笑い話でなく、ときに無知と行動力は、知恵や実績を凌ぎます。私が小学生の頃からWEBをいじくりまわして活動してたことや、
簡単なプログラミングができた事、自分のメディアを収益化している証拠をみせ、
面接でガンガンアピールすると、運良くWEBディレクターとして当時銀座にあったWEBコンサルティング会社に就職できました。
スポーツ系の専門学校を中退して実質高卒なんで、もっと長丁場になると思ってましたがラッキーでした。
実はもう一社内定をいただいていまして、
そこは大手の企業でしたが「WEBデザイナー」としての採用でした。私の性格上、最初から上流工程でないと自身のスキルを発揮できないと予感していたのですが、
実際にその予感は当たっていました。当時の業界ではデザイナーやコーダーから経験を積んでディレクターや営業やPMになるようなキャリアルートが一般的でしたが、
それには上流にいくのに早くても数年かかります。
じつのところその数年がもったいなく感じたんです。私のバックグラウンドの場合ですが。それだとあまりにクライアントと距離があります。
また定量的な評価が難しいため幼い頃から大人に混じってビジネスの真似事をしていた私の性格上、
わかりやすくPMと組んでクライアントと対峙する、成功や失敗や、数字が明確に出る立場でWEBディレクターからキャリアを始められたのはよかったと思います。
代表の方や上司の方も理解してくれる職場でした。
入社当時、私はまだベンチャーフェーズにあった企業に所属していましたが、現在は大手企業へ統合されています。創業者はアクセンチュアの戦略コンサルティング出身で、
法人向けのデジタル活用に精通した人物でした。
創業当初は、メールマガジンを中心としたコミュニケーション施策を企業向けに最適化し、
マーケティング活動に組み込むアプローチの第一人者で、そのソリューションを強みとしていましたが、
私が入社したタイミングでは、さらに事業領域が拡張され、デジタルマーケティング全般を「戦略設計から実行・運用まで一気通貫」で
提供する体制へとシフトしていました。
古いと思う方もいらっしゃいますが、メールを起点としたナーチャリングは、まだまだBtoB領域でROIの高い施策であり、
顧客育成の基盤として確かな効果を発揮する手法です。当時はWEB制作の受託を行う企業ではなく、
デジタルマーケ視点でクライアントの課題に対し、上流の戦略立案からCRM、サイト改善、広告運用、分析までを横断的に支援する事業を行っている段階にあり、
成果物だけでなく、戦略〜施策選定〜運用の2軸で利益を出すやり方でした。
この環境で、私はビジネス基盤となるロジックや、デジタルマーケティングの体系的な知識・実務プロセスを幅広く学ぶことができました。
特に、戦略思考・顧客視点の設計力・データドリブンな改善サイクルといった“土台となるスキル”を実務を通して身につけられたことは、
現在のキャリアにおいて大きな財産となっています。
また、いきなり外資系の大手食品メーカーや国内の有名美容メーカーなどのナショクラを
担当できて代理店を挟まずクライアントと直接取引をすることに夢中になれました。
またBtoBのメディア記事をたくさん書いてレビューをもらっているうちにビジネスの抜本的な知識や常識を現場で習得していけました。
もちろん全て順調ではなかったですよ。当時の直属の上司は非常に優秀な方でした、その一方で部下にはとても厳しかったので、辛くて堪りませんでしたが、
それ以上に「自分が関わった商品が自分の生活圏の中で普通に売られてて、人が購入したりするシーン」を日々見るのに夢中でした。
またSNSの企画や当時のアルゴリズムを背景とした運用には多少知識と自信があったのでそういった案件も企画から関わらせていただいて幸いでした。
その企業での経験がなければずっとフラフラして好きなことばかりして生きていたと思います。
その後は、たまたま個人でやっていた企画系SNSのフォロワーが伸びて総フォロワーが15万人ほどになったんです。
同時に出版社のKADOKAWAさんから本を出すことになったり、大手の企業様から案件をいただけるようになりました。
そんなタイミングで、仕事でしんどいことが起きたり、またプライベートで大変なことも重なり、そして引っ越しなど一気に生活環境が変わっていき、
色々重なって体調を崩しかけていたんです。
また、別軸で少しずつ仕事が理解できるようになり始めると、もっと大規模で自分と同じ属性の社員が多い企業
も経験したいという気持ちになっていました。
そんな中、スカウトという形でお声がけいただいたのをきっかけに現在の企業に入社しました。
どうでしょうか。期待外れの答えかもしれませんが、ここは正直に話すメディアということで 笑
本音で話すと、前提として社会やビジネスを考えてハックするのは経営者や事業者がやることだと考えます。
なのであまり方法論やビジネスチックなフレームワークに則ったコミュニケーションをするタイプではないかもしれません。
わたし個人としてはいちビジネスマンとして「社会人」「会社員」という肩書きから逃げずに、
限られたリソースでどうアプローチしてヒトの心を動かして、課題を解決していくか。どうやればエンドクライアントに、
クライアントに、代理店に、メンバーに伝わるか? 時にカオスな中にルールや流れを作っていく、その連続です。
とくにヒアリングではそれを意識しています。
ただ、その試行錯誤は私にとって副業のSNSでバズらせることも、
個人事業で一見キラキラしたPR案件をやることも、色んな視点でコミュニケーションをしていくクライアントワークも同じです。
柔軟に、かつ丁寧に仕事をしていると、たまに運が良いことがあるかな?といったイメージです。そういった精神をそもそも論として
価値観においているので、それがコミュニケーションスタイルの土台にあります。
でも、 もしかするとそれも個人的な活動で一定の数字を出してるから
言える事かもしれません。
自身の実態としての数字が個人に紐付きが弱い人ほど、 ペルソナを狭めたふわっとした権威性やお金以外の数字にこだわる傾向がありますよね。
また、透明化や定量評価と距離をとりはじめます。でもこれが普通の人間なんです。
そこから如何に距離をとって、プロジェクトの「成果」に結びつく論点に持っていき直せるか、そんなことを考えながら
いろんなキャラクターで話しています。
恥ずかしい話ですが、あえて一定の知識はあっても、分かってないふりをして質問することでその場にいる全体の解像度や認識を揃えるといったポジションも、
ギリギリ年齢的に許されたりするので、そういったこともします。これはあざといとかでなくて、強かさだと思っています。
特に「デジタル」「AI」「業界の全体像」など、今必要な知識や共通認識、もっと言えば、メタ的にエンドクライアントに
どうみられていると各メンバーが想定しているか?認識がバラバラだと案件のスピードが落ちるので、そこはPM病みたいなものですね。
大前提、そんなにすごくないですよ。ただ今話している軸では多少秀でているみたいなイメージです。総合格闘技的にビジネスコミュニケーションの大会などがあったら、
おそらく2回戦敗退程度です(笑)
ですが、私のできるスタンスの具体的な手法でいうと 「この案件、 クライアントの背景、 自社のアサインメンバー、 この状況で、
私が動いていま1番インパクトのある事はなんだろう?」 と考えながら細かく分解していきます。
たとえばそこに本が積まれてますが、私はビジネス書もあまり読みません。ですが幸運なことに私の頭の中は10代で読んだ
安宅和人さんの 「イシューからはじめよ」 という本、 哲学者の東浩紀さんの 「弱いつながり」、 あとは山中千尋さんの 「ジャズのある風景」 で半分くらいは出来ています。 (笑)
あとは実践経験です。 子供の時から大人に混じってアイドル活動して請求書出してましたから。 (笑)
10代の頃に都内で劇団をやっていた時に知り合った仲間だったり、知り合いのコミュニティー、あとは親族や親戚に外資系最大手の各業界のマネージャー職や
営業系の役職つきの人、 または定年でもそこ出身の人が多いのでプライベートでの彼ら彼女らとの会話から見え隠れする癖や独特の価値観から得たヒントも、
もしかしたら若くしてフロントに立つ機会やクライアントワークでは役に立っているかもしれません。
もちろん緊張はしますが、 「事業会社の大手企業」 という前提に限ると決裁権ある人やすごい肩書きの人たちは雰囲気や話し方が似てることが多くて、 こわくないんです。 笑
本質をみてくれるというか、 わたしは本質で仕事してるつもりなので多少拙くてもぶつかっていけます。
なので「これはどうですか」という案を自信を持ってはっきりと発言します。
逆にベンチャーや中小企業の経営者の方々とのコミュニケーションのほうが、いや厳密にいうと
「シンプル 利益」 を求めてない構造の時、複雑なビジネスモデルや事情、背景があるのクライアントワークのコミュニケーションのほうが難しいですね。
私が理解する云々ではなく、クライアントとインナー含めたチーム戦みたいなのがリアルな現場ですから、ビジネスをデジタルソリューションやクリエイティブ
でプロデュースするのは、全体のデザインがバランスよくないと進めれません。時には
チームごとにコミュニケーションフレームワーク的な共通言語的なものを揃える必要があります。笑
ですが、あらゆる人が培ってきた社内のアセット、そして最新のAI関連のツールをほとんど社員が使い倒す意識をしている現場では、
ある一定は再現性を持たせれますし、私の所属する企業には優秀なクリエイティブを作る方やパートナーが多いので、なんとかできるんです。
結論、どんな案件も違う意味でやりがいがありますね!
あんまカッコいいアドバイスは本当にないです!(笑)なのでもう少し範囲を狭めましょう。AIエージェントや生成AI学べきみたいなのは、どこでも聞けると思いますし
(笑)それ以外で意識的にできる範囲で言うと。
たとえばクライアントとのコミュニケーション、 社内外の専門家とのコミュニケーションを通じて、
目的を明確化して、 さらに奥底の目的、業界によってはインサイトと表現したりしますね。
まずはそこにまで目星をつけ、 「成果が出せそうでインパクトの高い順に」次のコミュニケーションを行うイメージです。
自分で目視できるように紙でもツールでもなんでも良いのでそこからそれないようにします。
それと、本当に私なりの経験則で言うと、やっぱり綺麗事でなく、 クライアントワークで、いち社員としてそういったやり方を成立させるテクニックとして、
まずなるべく上流にいくことが求められます。
例えば私の場合はPM、いわゆるプロジェクトマネージャーをやらせてもらっています。
これは自分の裁量が大きくなり、 決裁権を持つ人と直接話せます。 勿論、 責任やリスクと共にですがコミュニケーションの選択肢が増えるため合意の必要な仕事はスムーズになるはずです。
そしてもうひとつ基本的にわたしのスタイルは内部にボトルネックを見つけてもそこは指摘はしません。
勿論仕事に支障をきたすレベルでどうしようもない場合は正直に上に相談という名のヘルプを流しますが、滅多にないことです。
理由としては内部にボトルネックをみつけてどうこうというのは、「当事者」そして 「経営陣がやること」 だからです。
社員レベルでやるとハレーションを生んだり、 チームや社内の心理的安全性が崩れていき、
結果として内部のリソースが弱まるリスクがあるからです。意外とそんなことばかり文句言っている友人とはビジネスの話は
合わないなーと感じる時があります。
本音だとこんな感じが悪いことになっちゃってますけど、大丈夫ですか?
いえいえ(笑)あくまで、人や職場によります。業界のしきたりにもよります!
ですが、そこに自分の貴重な時間、 クライアントから頂いている予算を使うのは時間の無駄だと感じます。
わたしの所属する会社は 「体験デザイン」 を掲げているデジタルエージェンシーなのですが、 やはり一定の視座から見ると実際目の前にくるタスクは泥臭いのです。
クライアント、 代理店、 パートナー、 内部のユニット、 あらゆるステークホルダーが関わるので行間を読むコミュニケーションも求められます。
ファッションの基本は肉体といいますが、 コーポレートサイトやSNSがファッションだとすると、 肉体は 場企業だと 「IR」 「決算報告書」 などから始まり、
なにより現場で決裁権を持つ人と対峙する担当者の 「ビジネス力」 や 「コミュニケーションの多様性に対応できるEQ」 のようなものが求められるのです。
そこで自分の企業の掲げるスタンスを崩さずに、 かつ現実的な仕事に落とし込むのが自分の仕事の大まかなインパクトになっていくと思っています。
目的の成果に直結している部分を自分の出来るなるべくクリエイティブなやり方で成果を出していきます。
そう考えると、シンプルにみえて複雑な歯車が絡み合ってるので、 道を示すためのビジョンであるのだと思います。
なのでチームの方々にも基本的に託したからには信じるのがベストだと思って動いています。
はい。 たとえば目的に落とし込む要件整理、 領域がITに近くなれば要件定義にもなりますが、 そのあたり コミュニケーションは結局ビジネスなんです。
WEB業界で流行ったような、こちらで差別化されたオシャレなブランディングでインバウンドで問い合わせがきた企業や
ファンだからローコストなコミュニケーションだけで買ってもらう。
これって0年代ならまだしも私の年代の感性からするとそうはいきません。 一定のリクルーティング的な効果はあれど、全然本質ではないリソースの使い方です。
おそらく経営陣の方々もそれは承知であらゆる角度から施策をされています。 なので根本的な差別化や将来を見通してIPOしたのでしょう。
それと、良く「クリエイティブ」と言われますが、そもそも一定のビジネスマン同士では相手の状況を把握して話し合うので予算や工数管理の手札を見せ合うコミュニケーションになる
場面が多くなりがちです。 とくにクライアントワークはそうですよね。
その上で丁寧にコミュニケーションを取っていく。 ビジネスに必要なのはポートフォリオより結局ヒトなんです。
結局ヒト。 ヒトがチームになり、 企業にな り、 グルーヴしていくといいますか。 だからこそポートフォリオが輝くんです。
そういった目線で考えると、 社内政治みたいなことに頭のリソースを使わなくて良い企業で働くのは非常に大切です。
うちの会社はそういった意味で社員の心理的安全性を保つ事に注力されていて働きやすいです。
私が面接で落とします!
正直なところ、インタビューを始める前は「どこまで踏み込めるだろうか」と少し構えていました。
杉井さんは、ビジネスの現場に深く身を置きながら、同時に個人としても強い発信力と実績を持つ方です。
またお若いのであらゆるツールや知識のアップデートも異常に早い人というイメージでした。
その分、表面的な言葉をなぞるだけでは意味がないし、踏み込みすぎれば軽く消費的に対応されてしまう。
そんな難しさを、取材前から感じていました。
しかし実際に話を聞き始めてすぐ、その心配は不要だったと気づかされます。
杉井さんの言葉は常に「現場」と「顧客」に根ざしていて、キラキラした抽象論や成功談に逃げることがありません。
何が起き、どう判断し、どこに責任を引き受けたのか。
その一つひとつが具体的で、またご自身の生活にも反映されていて、その一貫性が仕事に向き合う人間として非常に誠実だと感じました。
本記事は、特別な才能や派手なキャリアの話ではありません。
限られた立場や条件の中で、どう思考し、どう振る舞うか。
杉井さんの言葉は、今まさに仕事の現場に立つ多くの人にとって、
静かに効いてくるヒントに満ちているように思います。